小学生の子供が遊びやスポーツで身につける『目標達成力』とは:保護者がサポートできること
小学生の子供たちの成長において、「非認知能力」がますます注目されています。この能力は、学力テストで測れるような認知能力とは異なり、意欲、協調性、自己肯定感、そして「目標達成力」といった、心の持ち方や人との関わり方に関わる力です。これらは子供たちが将来、変化の多い社会で生きていく上で非常に重要な土台となります。
特に、遊びやスポーツは、この非認知能力を育むための宝庫です。今回は、遊びやスポーツを通じて子供がどのように「目標達成力」を身につけていくのか、そして保護者の皆様がどのようにサポートできるのかについて考えていきます。
子供にとっての「目標達成力」とは
大人が考える「目標達成」というと、漠然と「〇〇大学に合格する」「大会で優勝する」といった大きな目標を思い浮かべるかもしれません。しかし、子供たちの日常における「目標達成」はもっと身近なものです。
例えば、
- 逆上がりができるようになりたい
- ブロックで自分が考えた通りのものを作る
- ドッジボールで相手に当たらないように素早く動く
- 友達と協力して難しいパズルを完成させる
- 鬼ごっこで最後まで捕まらないように逃げ切る
これら全てが、子供にとっては小さな、しかし大切な「目標」となり得ます。そして、これらの目標に向かって考え、試行錯誤し、挑戦し、達成するプロセスこそが、「目標達成力」の原体験となるのです。
目標達成力は、単に「目標を達成すること」だけを指すわけではありません。目標を自分で設定する力、目標達成に向けた計画を立てる力、困難に立ち向かう力、諦めずに続ける力、そして結果を振り返り次に活かす力など、一連のプロセスに関わる様々な非認知能力の複合体と言えます。
遊びやスポーツが目標達成力を育む理由
遊びやスポーツには、子供たちが自然と目標設定と達成のプロセスを経験できる要素が満載です。
- 明確なルールや目的: 多くの遊びやスポーツには、ルールがあり、そのルールの中で達成すべき目的(点を入れる、ゴールする、鬼を捕まえるなど)があります。子供たちはこの目的を達成するために、どのようにすれば良いか自分で考えたり、友達と話し合ったりします。
- 挑戦と試行錯誤: 最初から全てがうまくいくわけではありません。何度も失敗を経験しながら、「どうすればできるようになるだろう?」と自分で考え、方法を変えて試す(試行錯誤)過程が必要です。この過程で、粘り強さや問題解決能力が育まれます。
- 内発的動機づけ: 遊びやスポーツは、子供自身が「楽しい」「できるようになりたい」と感じるからこそ取り組みます。このように、自分の内側から湧き上がる興味や意欲(内発的動機づけ)に基づいた挑戦は、目標達成への強い原動力となります。
- 達成感と成功体験: 目標を達成した時の喜びや達成感は、子供にとって何よりの報酬です。この成功体験が「やればできる」という自己肯定感を高め、さらに難しい目標にも挑戦しようという意欲に繋がります。
- 他者との関わり: 友達やチームメイトと協力して目標を達成したり、時には競争したりする中で、他者の存在を意識し、コミュニケーションを取りながら目標に向かう力が養われます。
保護者ができるサポート:具体的な声かけや関わり方
子供の目標達成力を育むために、保護者の皆様はどのようなサポートができるでしょうか。日々の関わりの中で意識したいポイントをご紹介します。
- 結果だけでなく、プロセスを褒める: 目標を達成できた時はもちろん、目標に向かって努力したプロセスそのものを具体的に褒めましょう。「逆上がり、今日は前より少しだけ上に体が上がったね!」「最後まで諦めずにボールを追いかけたの、えらいね!」といった声かけは、子供の努力を認め、次への意欲に繋がります。
- 自分で目標設定することを促す: 大人が一方的に「〇〇できるようになりなさい」と目標を与えるのではなく、「次はどうなりたい?」「どんなことができるようになりたい?」と子供自身に問いかけ、小さな目標を自分で設定することをサポートします。
- 失敗を受け止め、次に繋げる機会にする: 失敗は目標達成の過程で必ず経験することです。「どうしてうまくいかなかったんだろう?」「次はどうしたらいいかな?」と子供と一緒に考え、失敗から学ぶ姿勢を促しましょう。失敗を否定せず、「また次頑張ろう!」と励ますことが大切です。
- 過干渉にならない: 子供が自分で考え、挑戦し、失敗する経験こそが非認知能力を育みます。先回りして手や口を出しすぎず、子供自身の力で乗り越える機会を奪わないように注意しましょう。困っている時には寄り添い、ヒントを与える程度に留めることが望ましいです。
- 多様な遊びやスポーツの機会を提供する: 特定の活動に偏らず、様々な遊びやスポーツに触れる機会を作ることで、子供は自分の興味や得意なことを見つけやすくなります。それが内発的な動機づけとなり、自ら目標を持って取り組むことに繋がります。
- 安全な挑戦の場を作る: 失敗を恐れずに挑戦できる、安心できる環境を家庭や地域で作ることも重要です。
まとめ
小学生の子供たちが遊びやスポーツに夢中になる時間には、非認知能力の一つである「目標達成力」を育むための大切な機会が隠されています。子供たちは、遊びやスポーツを通じて、目標を設定し、挑戦し、失敗から学び、そして達成する喜びを知ります。
保護者の皆様には、この自然な学びのプロセスを温かく見守り、結果だけでなく子供の努力や成長の過程を認め、励ますサポートが期待されます。過度な介入を避け、子供自身が内側から目標に向かっていく力を育めるような関わりを心がけていきましょう。遊びやスポーツを通して身につけた目標達成力は、きっと子供たちの未来を切り拓く大きな力となるはずです。