遊びながら学ぶチカラ

遊びやスポーツでの経験を次に活かす力:小学生の『振り返り力』を育む保護者の関わり方

Tags: 非認知能力, 振り返り力, 経験学習, 保護者向け, スポーツ・遊び

遊びやスポーツでの経験を次に活かす力:小学生の『振り返り力』を育む保護者の関わり方

お子様がスポーツや遊びに一生懸命取り組む姿は、保護者の皆様にとって大きな喜びであることと存じます。練習や試合、友達との外遊びなど、様々な経験を通じて子供たちは成長していきます。しかし、「ただ経験を積む」だけでなく、その経験から何かを学び取り、次に活かしていく力は、子供たちの将来において非常に重要な非認知能力の一つとなります。

この「経験から学ぶ力」や「振り返り力」は、学業だけでなく、社会に出てからの適応力や問題解決能力にも大きく影響します。そして、この力は、子供たちが日々の遊びやスポーツの中で自然と育んでいくことができるものです。

この記事では、非認知能力としての『振り返り力』とは何か、なぜ小学生期に重要なのか、そして遊びやスポーツがこの力を育む場としていかに優れているかについて解説します。さらに、保護者の皆様が家庭や日常の中で、お子様の振り返る力を効果的に育むための具体的な声かけや関わり方のヒントをご紹介いたします。

非認知能力としての『振り返り力』とは

『振り返り力』とは、自分が経験したことについて、その内容や過程、結果を客観的に見つめ直し、そこから気づきや学びを得て、今後の行動や考え方に活かしていく力のことです。これは、単に過去を思い出すことではなく、自己認識、原因分析、課題発見、改善策立案といった一連の思考プロセスを含みます。

具体的には、

といった姿として現れます。

この力は、変化の激しい現代社会において、自ら学び続け、成長していくために不可欠な能力と言えます。特に小学生の時期は、様々な経験を積み重ね、思考力や自己認識が大きく発達する大切な段階であり、振り返る力を育むのに適した時期です。

スポーツや遊びが『振り返り力』を育む絶好の機会である理由

スポーツや遊びは、子供たちにとって「経験」の宝庫です。そして、そこには必ずと言って良いほど、成功や失敗、楽しかったこと、難しかったことなど、様々な出来事が含まれます。これらの経験は、振り返る力を育むための具体的な材料となります。

具体的なシーンをいくつかご紹介します。

このように、スポーツや遊びの場には、意図せずとも振り返りの材料となる出来事が豊富にあります。そして、楽しみながら、あるいは悔しさを感じながら経験する出来事だからこそ、子供たちは内省する動機を持ちやすいと言えます。

家庭でできる!お子様の『振り返り力』を育む具体的な関わり方

お子様の振り返る力を育むために、保護者の皆様が特別なことをする必要はありません。日々の会話や関わりの中で、少し意識を変えるだけで、お子様の内省を自然に促すことができます。

以下に、具体的なヒントをいくつかご紹介します。

  1. 結果だけでなくプロセスに焦点を当てる声かけ:

    • 単に「勝ったね!」「負けちゃったね」と言うだけでなく、「今日の試合、〇〇君はどんなところを頑張った?」「△△のプレー、どうだった?」と、プロセスや自分の行動に目を向けさせましょう。
    • 「楽しかった?」だけでなく、「今日の練習(遊び)で一番楽しかったことは?」「何が面白かった?」と具体的に尋ねることで、楽しいと感じた要因を考えるきっかけになります。
    • うまくいかなかった時は、「どうしてうまくいかなかったんだろうね?」「次はどうすればいいかな?」と、非難するのではなく、一緒に原因を考え、次に繋げる視点を提供しましょう。
  2. 「なぜ?」や「どうやって?」の問いかけを取り入れる:

    • 「なぜ、あの時そう思ったの?」「どうやって、その方法を思いついたの?」のように、お子様の考えや行動の理由を尋ねることで、自分の内面に目を向けさせる練習になります。すぐに答えが出なくても、考える時間を与えることが大切です。
  3. お子様の言葉に耳を傾ける傾聴の姿勢:

    • お子様が経験について話始めたら、最後までしっかりと耳を傾けましょう。途中で口を挟んだり、すぐにアドバイスをしたりせず、まずは受け止める姿勢が重要です。
    • お子様が話す内容に共感したり、共感できない場合でも「なるほど、あなたはそう感じたんだね」と受け止めることで、安心して自分の気持ちや考えを話せるようになります。
  4. 具体的な振り返りのツールを活用する(任意):

    • スポーツなら簡単な「練習ノート」や「試合の記録」を一緒に作る。今日の目標、やったこと、できたこと、できなかったこと、次に頑張りたいことなどを簡単な言葉で書き留める習慣は、振り返りの習慣化に繋がります。
    • 遊びなら、絵日記や写真を見ながら「この時どうだったっけ?」と話すのも良い方法です。
  5. 保護者自身の振り返る姿を見せる:

    • 保護者自身の日常の出来事について、「今日ね、仕事でこんなことがあって、最初はうまくいかなかったんだけど、〇〇を試してみたら良くなったんだ」「今日の晩ご飯、この料理は美味しくできたけど、△△はもう少し工夫が必要だったな。次はこうしてみようと思うんだ」のように、振り返り、次に繋げる様子を言葉にしてお子様に聞かせることも有効です。保護者の姿を見て、子供は学びます。

まとめ:経験を成長の糧にする力を育む

遊びやスポーツは、子供たちの心と体を育むだけでなく、経験から学び、次に繋げる『振り返り力』という一生モノの非認知能力を育む素晴らしい機会です。

保護者の皆様の温かい声かけや、結果だけでなくプロセスや内面に寄り添う関わり方は、お子様が自分の経験を客観的に見つめ、そこから気づきを得て、今後の成長の糧としていく上で、かけがえのないサポートとなります。

日々の忙しい中でも、スポーツや遊びの後の少しの時間を使って、「今日どうだった?」「何を感じた?」と優しく問いかけることから始めてみてください。その小さな積み重ねが、お子様の未来を切り拓く大きな力となるはずです。