遊びながら学ぶチカラ

遊びやスポーツで育む小学生の『待つ力』:ゲームや練習中の待ち時間が成長のチャンスに変わるヒント

Tags: 非認知能力, 待つ力, 小学生, 保護者, スポーツ, 遊び, 自己調整能力

遊びやスポーツの「待ち時間」が育む、子供にとって大切な『待つ力』

日々の遊びやスポーツの場面で、お子様が「早くやりたい」「まだかな」となかなか落ち着いて待てない様子を見かけることはありませんか。順番を待つこと、自分の番が来るまで我慢すること、指示があるまで行動を控えることなど、「待つ」という行動は、実は子供の成長において非常に重要な役割を果たします。

この「待つ力」は、単なる我慢強さだけでなく、将来にわたって様々な場面で役立つ非認知能力の一つです。遊びやスポーツの環境は、この「待つ力」を自然な形で育む素晴らしい機会にあふれています。今回は、遊びやスポーツがどのように「待つ力」の育成に繋がるのか、そして保護者の皆様がどのようにサポートできるのかについてご紹介いたします。

『待つ力』とは何か?なぜ子供の成長に重要なのか?

ここで言う『待つ力』とは、自分の欲求や衝動を一時的に抑え、状況に応じて適切なタイミングや順番を待つことができる能力を指します。これは非認知能力の中でも特に自己調整能力衝動のコントロールといった側面と深く関連しています。

子供がこの『待つ力』を身につけることは、以下のような成長に繋がります。

これらの力は、学校生活での学習、友達との関わり、そして将来社会に出たときにも不可欠なものです。

遊びやスポーツのこんな場面が『待つ力』を育む

遊びやスポーツの中には、「待つ」という行動がごく自然に求められる場面がたくさんあります。具体的な例を見てみましょう。

これらの経験を通じて、子供たちは「待つことには意味がある」「待つことで次に良いことがある」「待たないと遊びやスポーツが成り立たない」といったことを肌で感じながら学んでいきます。

保護者ができる、子供の『待つ力』を育む関わり方

遊びやスポーツの場における「待つ力」の育成を、保護者の皆様がより効果的にサポートするためのヒントをいくつかご紹介します。

  1. 「待つこと」の必要性を具体的に伝える: なぜ待つ必要があるのか(例:「順番を守らないとみんなが気持ちよく遊べないよ」「コーチのお話をよく聞くと、もっと上手になるヒントが見つかるよ」)を、子供に分かりやすい言葉で具体的に伝えてみてください。「待ちなさい」と指示するだけでなく、その理由を理解することが、子供自身の納得に繋がりやすくなります。

  2. 待てたこと、ルールを守れたことを具体的に褒める: 結果だけでなく、待つという行動そのものや、ルールを守る姿勢に注目して褒めましょう。「順番通りに滑り台を使えて偉かったね」「コーチがお話ししている間、静かに聞けていたね」など、具体的にどのような行動が良かったのかを伝えることで、子供は「待つこと」がポジティブな行動であると認識します。

  3. 待ち時間があることを事前に伝え、見通しを持たせる: 公園に行く前、練習に行く前に、「今日は滑り台にたくさんの人がいるかもしれないから、順番を待つことがあるよ」「今日は新しい練習の説明があるから、コーチのお話を聞く時間が少し長くなるよ」など、待ち時間が発生する可能性があることを伝えておきます。事前に心構えができることで、子供は落ち着いて待ち時間を受け入れやすくなります。

  4. 待ち時間を活用するヒントを提供する: ただ待つだけでなく、待ち時間を有効に使う方法を提案してみるのも良いでしょう。「次は〇〇ちゃんの番だね、どんな風に滑るか見てみようか」「コーチが話している間、次に自分がどう動くか考えてみようか」など、待ち時間を観察や次の行動の準備に使うように促すことで、受動的な待ち時間から能動的な時間へと変わります。

  5. 保護者自身が「待つ」姿勢を見せる: 信号待ちやレジでの順番待ちなど、日常の様々な場面で保護者自身が落ち着いて待つ姿勢を示すことは、子供にとって何よりの模範となります。「ちゃんと信号が青になるまで待とうね」「次はお店の人に『お願いします』って言おうね」など、日々の生活の中でも「待つ」ことの意味を意識的に声に出すのも効果的です。

  6. 完璧を求めすぎず、子供の成長段階に合わせてサポートする: 子供の「待つ力」は、年齢や発達段階によって異なります。最初から完璧に待てるわけではありませんし、状況によっては難しく感じることもあります。できない時に一方的に叱るのではなく、「難しかったね。次はもう少し頑張ってみようか」と寄り添い、少しずつできることを増やしていく視点が大切です。

まとめ

遊びやスポーツは、子供たちが楽しみながら様々なことを学ぶ貴重な機会です。その中に自然に組み込まれている「待つ時間」は、非認知能力である『待つ力』、すなわち衝動のコントロールや自己調整能力を育むための大切な練習の場となります。

保護者の皆様が、これらの「待つ時間」を単なる待ち時間と捉えるのではなく、お子様の成長のチャンスと捉え、今回ご紹介したような具体的な関わり方を実践することで、お子様の『待つ力』をさらに伸ばすことができるでしょう。遊びやスポーツを通じて育まれる『待つ力』は、お子様が将来、目標に向かって粘り強く努力し、社会の中で他者と協力して生きていくための、揺るぎない土台となるはずです。